つけ麺 井手
"一流の麺"と"美味しい焼きたてチャーシュー" チャーシューの絶妙な焼き上がりを産み出すのは、 福岡で修行を経た若き店長
店名
つけ麺 井手
住所
大阪市中央区平野町1-8-5
席数
15席(カウンター3席、テーブル12席)

つけ麺 井手
"一流の麺"と"美味しい焼きたてチャーシュー" チャーシューの絶妙な焼き上がりを産み出すのは、 福岡で修行を経た若き店長
店名
つけ麺 井手
住所
大阪市中央区平野町1-8-5
席数
15席(カウンター3席、テーブル12席)

 僕がラーメンの世界に入ったのは、単純に自分がラーメンばっかり食べていたのが理由なんですよ。それで、自分で食べているうちに「自分のラーメン作りたいな」って思いだしました。食べ歩きをしていたのは、18歳~19歳の頃ですね。そして、ラーメン店に勤めだしたのが24歳です。

 実家が花屋だったので、もともと商売自体は身近だったんですよね。何にしようかなという中で、ラーメンに行き着いたという経緯です。接客をし続けている親を身近で見てきたし、自分も飲食と接客の業種でやりたいと思っていました。

 母親が福岡の出身で、自分はとんこつばっかりを食べていたので福岡に行きました。そして、すぐに体を潰しちゃいました。あまりにも生活のギャップを感じまして。

 それで、一瞬大阪に戻ったんですけど、体調が回復してきたら「家賃もったいないし、もう一回やってみたい」と思い、改めて福岡でもう一度ラーメン屋さんに入りました。そこのラーメン屋さんが、本当に良かったんです。"辛い"というしんどさを、"楽しさ"に変えてくれたんです。人がとても良くて、最初の店舗はどちらかというと職人的なところだったのに対し、2店舗目は自分の時間を使ってフォローまでしっかりしてくれて、本当に感謝していますね。おかげさまで続きました。

 そのお店との縁は、母親に教えてもらってから、すぐ電話してすぐ働きました。「明日から行けます!」って言いましたよ。自分で決めたことなので、やらなきゃいけないなって思って。1年半くらい頑張りました。すると、しばらくして母親が体調を壊してしまって、また大阪に戻ってきました。

 博多の飲食店は賃金も安かったので、貯金を切り崩していました。戻ってからしばらくはお金が無かったので、パチンコ屋さんで働いたりしながら繋いでいました。アルバイトをしながら、取り敢えず減った分だけ取り戻し、また飲食店に戻ってきました。

 そして、大阪で自分に合うラーメンを探そうと思って、転々としながら探していました。自分が"美味しいと思うラーメンじゃないと働けない"ですよね。それで、2012年に「つけ麺 井手」に出会いました。

 今の社長が、奥さんと一緒にやっていると思っていたんです。で、ほんと、たまたまフラッと情報誌見てたら募集がかかってたんで、夜中に確認しに行ったら「やっぱりここや!」ってなって、翌朝すぐに応募しました。結果、その女性はただのパートさんでした。笑 面接でそれを言った途端「パートです」って言われちゃいました。

 色々食べ歩いている中でここに惹かれた理由は、"チャーシューが他と違ったり"、"あっさりしているのにコクがあって"、とても自分の好みだったんです。

 それで、自分が「どれだけここのラーメンが好きな気持ちが続くかな」と思っていて、しばらく食べていたのですが、「やっぱりずっと好きかも」って確認できました

 また、製麺機も当初置いてあったので、"色んな勉強もできそう"だと思って、自分が独立するまでは「ここで働きたい!」と思いました。

「これ逃したらまずいなぁ」と思ったので、めぐり合わせですね。

 働き始めてから大変だったのはチャーシューですね。

 うちは"チャーシュー"が自慢の1つなのですが、出す直前に焼くんですよ。フライパンで焼くんです。これがめっちゃ難しい。

 普通チャーシューって、冷やして切りやすくしてから入れるお店もあったりするんですけど、うちはチャーシューをあらかじめ切っておいて、袋に入れて保存して、お客様がきてから来た分だけ焼くんですよ。

 けど、焼くタイミングが早すぎると酸化して旨味が逃げちゃうので、麺があがるタイミングで焼かなきゃいけない。けど、フライパンはすぐに熱くならないから、火を入れてから一番ちょうどいい時間に仕上がるように調整しているんですよ

 ここに社長が居なくなって、自分が店長になった瞬間めちゃめちゃクレーム出たんですよ。「あいつ、あかんで」って、社長に直接言ったり・・。けど、少しずつちゃんとできるようになって、「今日美味しかったで」って常連さんが言ってくれた時は泣きそうになりました。

 チャーシューの脂身が多かったり、肉が多かったりしてもチャーシューの仕上がりが全く変わってくるので、そういうのもしっかり見極めていかなきゃいけない。それは本当に大変でしたが、どうにかできる様になってきました。ちゃんとできないとすぐ悪い評判が回っちゃう。このあたりの人は凄く口が肥えてるんで、すぐ

 スープのこだわりに関してですが、うちのスープはスゴイあっさりしているんです。けれども、ちゃんとコクがあるスープを作るようにしています。化学調味料は一切使用しないで作っています。

 材料も骨で髄が細かったりすると、すぐに業者さんに連絡をするようにしています。素材の1つ1つを毎日見極めて、いい物をしっかり使うようにしています。万が一、素材が違う時は、水位を普段より下げないといけない。そういう時は、スープがシャバシャバになってしまわないように微妙な調整をしています。最高の色合いや、沸騰のボコボコした感じもしっかり覚えておくんですよ。その状態を混ぜずに見ていると、しっかりとしたコクが出るんですよ。基本は、豚骨と野菜ですね。タイミングを見ながら入れています。

 社長は、そういう違いにスグ気付くんですよ。社長は、ほんとマジですごいんですよ。飲んで「これは違う。原因はこうや、ああや」って、的確に指示を出してくれるんです。

 飲んで解らないときは、「今日の骨はどうやった?」って聞いてくるのですが、そういう時にあやふやな返事をすると「お前何考えてんねん」と怒られます。そういう時は、本当にすごく怒られますね。

 大阪で働いていた時は、最初は正直気が抜けていました。そんな時、一度福岡に遊びに行って、2店舗目の人と話した時に「意識がはずれてきてんちゃうか」って言われて、「しっかりしなきゃいかんな」と思いながらもすぐには変われずにちょっとダラダラしてたかもしれません。

 そこで、今の社長に出会ってから意識をしっかり変えることが出来ました。うちの社長は一切妥協しない人なので、尊敬できる部分がたくさんあって厳しいですけれどもやってこれていると思いますね。

(画像左:井手社長)

 もとダレに関しては、社長が輝で学んだことを自分流に改良したものを作っています。それらに関して自分たちは、"何をベースにして作るのか"とか、基本的なことは教えてもらえますが、本質的なところは社長が一生懸命作っていますね。

 おかげさまで、うちも繁盛できてるわけでありがたいですね。

 麺に関しては、僕が来た頃にはもう製麺機は無くなっちゃったので、僕は関わってないんですよ。僕がここに入った頃は、もう一店舗の店長の松本さんが麺を作ってました。そして、和だしは社長が作っています。和だしと麺に、すごいこだわっていますね。

 "味付け"で勝負してなくて、"素材"で勝負している部分が多いかも知れないですね。"美味しい醤油"と、"美味しい麺"と、"美味しいチャーシュー"で、「美味しいラーメン」。そんなラーメン店ですね。

 このお店は、自分の仕切りでやらせてもらっています。任せてくれた時、「言ってすぐ出来るもんじゃないから」と言いながらも、期待して任せてくれていますよ。

 ですので、クレームが出ることもありがたいです。自分で気が付かないうちに、誤作動が起きてくるんですよ。極端に濃くなったり、シャバくなると気付けるんですけど、 味が薄くなってくるのは少しずつだったりするので解らない。そういうのを、常連さんがクレームでストップしてくれたりするんですよね。「作った張本人でさえ解からなくなる時がある」と、社長自信も言っています。お客さんの声を聞かないと、絶対潰れますね。作り手よりも、"お客さんの方が、絶対舌は正しいんですよ"。「俺が作ってるラーメンは美味い」っておごると、もう絶対ダメですね。

 今は、1日110杯~130杯くらいでコンスタントに来ています。1日を、大体120杯計算でやっています。最近、夜は徐々に伸びてきていますね。平均は40杯くらいで、たまに50杯ぐらいいく時もあります。

 顧客層としては、OLの方やサラリーマンの方も来られます。8:2ぐらいで、女性もいます。比べると女性は少なくなりますけど、女性も増えてきましたよ。女性の方も、よく1人で来られています。若い女性も、普通に1人でパーと入ってきますよ。土日は、会社員の方も家族で来てくれたりするんですよ。カップルの方も多いですよ。夜に、週4~5回来る方も居ます。

 ここでやっている目標は、社長がずっとお客さんの人数を守ってきているわけじゃないですか。そういうお客さんを、"守りたい"という気持ちがありますよね。それが今後の、"自分のラーメン人生の目標と野望"です。

 実際、社長が居なくなって離れた常連さんもいるんですけど、そういう常連さんを連れ戻したいと思っていますね

【中山店長談】