麺や而今(じこん)
その時できることを一生懸命頑張る”而今”
今は、”一杯一杯を最高の状態”で提供したいんです。
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僕はもともと、飲食なんて絶対やりたいと思ってなかったんですよ。実は、広島のヤンキーだったんです。中学校卒業して、無理やり住み込みで働かされたのが、大阪ミナミの料亭だったんです。けど「包丁、嫌!」って思ってたので、それ以外の皿洗いとトイレ掃除は誰よりも上手なやつでしたよ。笑 その時できることを、一生懸命頑張りました。
あまり、人の過去も未来も興味ないんですよ。その時できることを、MAXでやるというのが僕の考えなので。それは、“而今”という店名にもその考え方が入っていますよ。
今日を頑張る人の明日は違うし、目をつぶってるだけでも明日は来るんです。
つけ麺博でも、その日は当然全力でやるんですけど、1000杯も出してると、「この”一杯一杯”は、本当に同じ価値なのか?」みたいな、自己嫌悪に入ってしんどくなっちゃいました。だから”一杯一杯”をその時の最高で、僕は提供したいんです。
最初は、「料亭で日本一の便所掃除を目指したろう」と思ってたんです。「便座を舐められるぐらい磨こう」って思ってたんですよ。それから、皿洗いしてて、良い皿と安い皿の見分けも分かるようになりましたよ。結構、僕は凝り性なんやと思うんですよ、なんでも。
皿洗いをしていた時は、人の動きを横で見ていて、何枚目の皿を洗ったあたりで、何を入れたかを覚えておくんですよ、火加減とタイミングの。
そうやって、美味しいものの作り方を覚えたんです。そしたら、まかないが「めちゃくちゃ美味い」って言われて。笑 凄く嬉しくなったんですよ、一口も舐めてないんですけど。そうやっと、22年間ずっと割烹に居ました。僕は今46歳です。
それから、41歳で鶏料理 華昌(ハナマサ)を始めたんです。”美味しい”とか”美味しくない”は、僕は全然興味ないし、「不味い」って言われても、全然気にならない。でも、「また、来るわ!不味いけど、また来るわ!」って、言わせたい気持ちはありました。それでダメだったら、”また、割烹したらいいや”という感じでした。何でもやり始めたら懲るので、なかなか予約の取れないレストランになりましたよ。
お客さんに「美味しい」と言わせるために、作ってるわけではないですね。あくまでも、”自分が感動する味”を追及したかったんですよね。
お客さんが来る理由は、美味しいからじゃないですよね。やっぱり、魅力があるから来てくれるんですよね。雰囲気、スタッフ、それに加えて”人間力”ですね。味なんて不味くても、お客さんは来ますよ? 笑 なんぼ美味いもん作り続けても、結局最後はお客さんが来なくなって店がなくなることもありますよ。
2011年1/11 OPENの来店客は5人。お客さんが1日1人というのが、ワースト記録。2011年1/18。
鶏料理も、めちゃくちゃ苦労したんよ。ビラを2人で、死ぬほど何万枚も配りましたよ。笑 そうやって、店主水から足を運んで挨拶してたら、「あのバーニーズマウンテンがある近所ちゃうん!」とか言って、お客さんが来てくれたり。鶏料理の注文がゼロの日もありましたけど、3ヶ月ぐらい経って、軌道に乗りましたけどね。
華昌が2周年を迎えるぐらいで、昼はラーメン屋を始めました。僕の濃い重い人生の中で、ラーメンっていうのは一番食べて来なかった料理なんです。自分の料理の中ではあまり使う事がない化学調味料が入っているから。でも、「自分で作ったラーメンで、逆に感動できるかな!」っと思って始めました。自分がどういうものを作るのか、想像もつかなかったので。
それで、去年はつけ麺博に出るために、ラーメン屋に特化しました。あと、人を育てるのは、比較的楽ですからね。
今思えば、最初はそんなに美味しくなかったよ。不味くはないけど、美味しくもなかった。自分がどういうラーメンを作りたいのかも分かっていなかったから、”やりながら考えよう”と思っていました。だから、味もめっちゃ変わりましたよ。今は店長に任せています。ここからは、川口店長の話しを。
【島田店主 談】
僕は天王寺の高校に通っていて、ラーメンチェーン店でアルバイトしていましたね。16歳の時ですね。そこから、7年ぐらい働きました。
高校卒業して、料理学校に行って、1年間は社員をやって、そして辞めました。実は僕も最初は、全然ラーメンに興味がなかったんですけど、”料理の楽しさ”や”接客の楽しさ”を学べたことで、ちょっと面白くなってきた感じですね。
やっぱり、お客さんに「美味しい」って言ってもらえた時に、”ドキッ”としたんですよね。
以前は手元を見ながら挨拶とか平気でやってたんですけど、”挨拶の大切さ”とか、”接客の大切さ”を教えてくれた店長がいて、その人が独立したときに、”一緒に仕事をしたいな”と思って手伝いに行きました。その店で、”接客の大切さ”をしっかり教えてもらえたのが良かったですね。
スープも炊いたりしていましたけど、未だに分ってないこともたくさんあるので、まだまだ勉強中ですね。
ここに来る前の1年ぐらい、そこのラーメン屋でお手伝いさせてもらってました。それから、ここに来ました。僕は、今年27歳になります。
スープの炊き方に関しては、醤油と塩の清湯が基本で、炊く時間は大体4時間ぐらいですね。気温とかに影響されるので、あまり時間は決まってないですね。けれど、時間はめっちゃかかりますね。
夜じゃないとスープは炊けないので、麺を練ると全く寝る時間がなくなってしまうんですよ。
つけ麺博の麺は外向きなんですけど、サンプルの支度だけして製麺所で作ってました。
麺は、小麦胚が入っているものを使ってますね。焙煎して香りが良くなっていて、甘みが全然違いますね。いつか、自分で麺も作りたいんですけどね。なかなかここでは、時間的にできないですね。
麺に関しては、細麺であまり関西にはないですね。関西人に、合わないんじゃないかと思ったんですけど、意外と評判いいですよ。”自分が好きな麺”を使ったんですけどね。
レシピはあるけど、季節によって本当に変わるのであってないようなものなんですよ。食べ物は生き物なので、ちょこちょこ季節によって変えたりしていますね。
うちのかえしは、鮎の魚醤を使っているので風味が良いんです。それに加えて生醤油を使うので、作る時に火を入れて飛ばすんですよ。
かえしとチーユの”トータルバランス”が一番大事なんです。かえしと醤油は、スープで割る時に初めて火を入れるんです。食べる前にさっと火を入れてアルコールを飛ばすことで、香りが残るんですよね。そこに、焦がし玉ねぎを入れると、絶妙な風味が出てくるんですよ。それと鮎の魚醤も使うので、これがすごく活きるんですよ!
毎日、回転が本当に速いので、めっちゃ多い時には300組ぐらい来ますね。
(見て下さいこの立地!!)
限定とかやった時は、朝の6時から並んでいたので整理券を渡しましたね。何名かおられましたよ。ちょっとびっくりしましたね。ヤバいですよね 笑 “而今ファン”が結構いるんですよ。でも、今回のように並んででも来ることは、なかなかないですよね。
それから、女性は6:4の比率で結構多いですね。
お客さんに”喜んでもらえて、笑顔をたくさん見たい”と思っていますね。それが、やっぱり一番嬉しいですよね。どこの職場でも、それが一番だと思うんですけど。どこにいても、努力すればできるんじゃないですか?
目標に関しては、今は先のことをあんまり考えてないですね。でも、”ずっと楽しく仕事できたらいいな”と思っています。独立したいっていうのはないですね。やろうと思ったらいつでもできるし。でも、繁盛できるかは、やってみなきゃわかんないですけど。もっと自信がついた時に、やってみたいと思っていますね。
とにかく今は、”而今”のことしか考えてないです。あと、いつか”弟子ができたら幸せ”ですね。
【川口店長 談】