ラーメン屋を経営する上で必須条件となってくるのが、立地条件だと思いますが、ラーメン屋の経営を目指す人々にとっては逆にそれが落とし穴になるということもあるのです。なぜかというと、人通りや、車の交通量が多い場所ともなれば、家賃は言わずもがな、高くなって行きます。
地方や郊外などでは人通りや、車の通行量が多いところなんてたかが知れてますし、場所が限られてきてしまいます。
こうなってくると、皆さんはどこに場所を出すかというと、国道沿いに集まってくるわけです。
事実、国道沿いにラーメン屋は多いですよね。
しかし、家賃が高くついてしまうので、どこかでその埋め合わせをしなければいけなくなってくるのです。
では、その埋め合わせをどこでやるかというと、まずは人件費から削減していくでしょう。
しかし、国道沿いですからピーク時には人が必要です。ですから、人件費を下げるには限界があります。そうなってくると、材料費を安く抑えるしかなくなってきてしまうのです。
原価を安い材料にしたり、他の材料を試してみたりと、試行錯誤していくと最初のうちは人が来ているのですが、あるときぱったりと来なくなってしまうということがあるのです。
なぜかというのは簡単です。それは、単純にまずくなったからに相違ありません。
開店当時は何年もかけて作り上げた、レシピ通りに作ったおいしいラーメンでも材料費を削っていたら、もちろんまずくなってしまいます。
いかに、安く手に入る食材でおいしいラーメンを作るのがプロの料理人としては美学かもしれませんが、ラーメンというのは材料がすべてですから、そこでケチってしまったらいくら料理の鉄人といえども、おいしいラーメンなんて作れるはずがないのです。
しかも、この落とし穴の一番の落とし穴たる由縁は、自分で何がいけないのか気づくことが難しい点にあります。
材料費は一気に落とすというより徐々に徐々に落としていきますから、段々と舌がその安い味に慣れてきてしまい、自分が作っているラーメンがまずいということを自覚できないのです。
運よく自覚したとしても、その時は既に客がそのラーメン屋から遠のいたときでしょう。
そうなってくると、そこから盛り返してくるのは、かなり難しいことになります。
うわさが広がるのは早いですからね。とくに長距離ドライバーが多い国道沿いなんかですと、味にうるさい人が多いですし、仲間が大勢いいて情報交換していますから、一気に来なくなります。
ですから、ラーメン屋をやるときは、この立地の家賃でも、商売が成り立っていけるのかを十分シミュレーションしてから臨みましょう。