鬼そば藤谷
佐野実氏をも納得させたモノマネ芸人!東京ラーメンショーで素人ながらも優勝!!
その裏には、転落人生からラーメンに救われたという物語が!!!
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僕のラーメンのルーツは、小っちゃい頃、毎週日曜日野球が終わった後、親父がラーメンを作って待っているほどラーメンが好きな人ということもあり、親父のラーメン好きが僕のラーメンのルーツですね。僕は北海道から埼玉に引っ越してきたんですが、親父が「北海道を忘れるな!」ということで、北海道の食材を使ったラーメンを食べさせて何が入ってるかを小学4年の僕に聞いていいたぐらいなんです。(笑)
家の近くにラーメン屋が出来ると「1日目は行くな!3~4日目に行け!!」「その日なら味がちゃんと落ち着いているから、それが本当の味だ!」とか言ってましたね。それに、親父はラーメン屋をやってる店主にも興味を持っていた感じでした。
だから、僕もなんとなく好きだったんですけどだんだんハマっていって、小6のときに書いた文集に、「昼はプロ野球選手をして、夜はラーメン屋をやる」って書いてました。その文集を見た先生に、「ダブルワークを書いたのは藤谷君だけだ」って言われて取り上げられたりして。(笑)
僕はテレビに出たかったからプロ野球選手になるって言ってたんですけどね。でもプロ野球は無理だったので、テレビに出れる人になるために芸人になったんですよ。
それから芸人になってモノ真似で優勝したりしてたんですが、その時に佐野実さんのモノ真似をしてたりしていましたが、だんだんテレビの仕事もなくなってきて・・・でも、何故かラーメン屋のレポーターの仕事だけはあって、佐野実さんの“褒めながらキレる!っていうレポートをしてたのが、結構皆さまに受けてたみたいなんですよね。
そこから、ラーメンにまたハマっていき、ラーメン屋が多いエリアに引越しを考えて、ネットで検索したら高田馬場がラーメンの激戦区ってことを知り、次の日に高田馬場に引っ越したんです。
ラーメン屋をレポートして紹介していくと、ラーメン屋の店主さん達に凄い感謝をして頂いて、今振り返ってみると僕が芸能っていうのを取られた時に、支えてくれた人たちってほとんどがラーメン店の店主達だったんですよね。
ある日、国産小麦の講演会があり佐野実さんが講演に出るのを知って、佐野さんに恩返しがしたいと思ってそこ参加したんです。僕は佐野実さんと同じ格好をして、いじってもらえるのを期待して行ったんですけど・・・
会場は佐野さんの話を真剣に聞いてる人ばかりで、司会者の人が、「質問ありますか?」って言った時に、僕はすかさず手を挙げて、「佐野さんのモノ・・・」って言おうとしたら、佐野さんがいきなり「お前同業者か?どこのラーメン屋だ?!えらい気合入ってたな。えらい眼力だったぞ!!」って言われて、「いや・・・ボク、佐野さんのモノ真似やってて・・・」って言ったら「はぁ?モノ真似?」って突っ込まれたんですよね。(笑)
僕も言おうと思ったことが全部飛んでしまって、「甘ったれてんじゃねぇ~よ!って言ってください!」って言ったら、司会の人も少し笑いながら、「佐野さんお願いできますか?」って言って、佐野さんに「甘ったれてんじゃねぇ~よ!」言ってもらうと会場から凄い歓声が上がって、その場はなんとか乗り切れたんですけどね・・・。(笑)
その後、佐野さんの奥さんから呼ばれて、「いろいろ通販サイトで佐野実の格好して紹介してるよね?!ありがとう!」て言われたんですが、その時も佐野さんは僕がラーメン屋だとずっと思ってたみたいで、「モノ真似をやってんだったら白衣をやるから明日来い!」って言われて、次の日の朝に佐野さんのとこに行ったら「お前偉いな。じゃ~これ着てそっくりにやれ!」って言ってくれましたね。
でも、モノ真似だけだとやっぱり飯も喰えないし、どうしようって考えていた時に、ちょうど東京ラーメンショーのチラシを見たんです。すると、そこには「素人でも出れる」って書いてあったんですよ。
だんだんお金もきつくなってきていたので北海道に帰ろうかと思っていた時だったんです。でも、これまでやって来れたのはラーメンのおかげで、店主の皆さまに助けてもらったというのもあったし、ネットの動画で佐野実さんが話しているのを観てすごく勇気づけられたこともあって、2011年の東京ラーメンショーに出ようと決めたんです。
僕はラーメンレポートをしていた時に、取材の次の日に自分でもう一度その取材したラーメン屋に食べに行って、味を確かめることをやっていたので、ラーメン屋さんの方たちがすごく仲良くしてもらえてたんですよ。飲みに連れて行ったりとかもしてくれたしね。そんな僕が「東京ラーメンショー出るんで!」ってその高田馬場のラーメン屋さんの方々に言ったら、協力までしてくれましたよ。
でも、麺をどうしようって思った時に、「佐野さんとこで借りよう」って思って、佐野さんの会社に電話したら、奥さんが出て「あ!Hey! たくちゃん?最近ブログ見ていたけど元気ないわねぇ~」、「佐野実のラジオにもFAX送ってくれてるの全部見てるわよ!」って言ってくださって・・・もう、すごく嬉しかったですね。それで、佐野さんと飲みにいくことになって、そこで「東京ラーメンショーに出ることになったんで、麺をお借りしたくて」って言ったら、「麺?どんなラーメンだよ?」って言われて、説明したら、「じゃぁ~これでこうやってこうやれ!」って言われて、「最後に麺は貸すからお前のラーメンを作れ!金もいらねぇ~よ!」って言って下さったんです。
佐野さんや高田馬場のラーメン屋の方々の協力もあって、東京ラーメンショーで優勝しちゃったんですよ!そして、すぐ佐野さんに電話で言うと「よかったな!」って言ってもらえて。佐野さんが「賞金はいくらだ?」って聞くから、僕は「ビール1ケースと賞状と楯です。」て答えました。そしたら「それはダメだ!今から来い!その東京ラーメンショーで手伝ったやつらも全員連れて来い!」って言われて、みんなで行ったら、すごく喜んでくれて、優勝祝賀パーティーみたいなことをその日にやってくれたんですよね。あれにはほんとに感動しましたね。
後日、佐野さんに「佐野さん・・・あの時僕借金があって・・・実はお借りした麺のお金払えなかったんです」って言ったら、「そんなこと分かってたよ!お前がモノ真似で来たときから分かってたよ!」って言われてね。佐野さんは初めからお金ももらう気もなかったみたいで・・・すごくありがたかったです。
そこから優勝しても仕事が増えるわけでもなく、本当に絶望していた時に、ここの今の店舗で「Ustream」でラーメンを動画配信するっていう企画に参加させて頂いたんです。でも、その時にたまたまラーメン屋の店主が来れないってことで僕が店主の代わりにやることになり、いろいろコメントしてたんです。するとスポンサーでもある「株式会社ムジャキフーズ」さんから「ラーメンやってみたらどうですか?」って言われて、「ここの渋谷のセンター街の一等立地でラーメン屋をやれるなら5階だろうが何だろうが最高だ!」って!宝くじ当たったくらいの話だと思って、「やりたいです!」って言ったら「ラーメンに対するレポートを書いてくれ」って言われて必死で書いたら審査に通ったんです。
「最初の準備金とかないんですか?」って聞くと、「居抜きの家賃だけでいいですよ。ウチの会社はトラスト方式っていうのがあり、力があるのに店を出せない人達を支援している会社なんです。だから、藤谷さんがここでどうやっていくのか見てみたいんです」って言われて破格の条件からやらさせてもらったんです。そんな流れで「株式会社ムジャキフーズ」さんの支援のもと、2012年9月に「鬼そば藤谷」をオープンしたんですよ。
最初は新人賞をとったラーメンでいってたんですが、借金も返さないといけないし、本当に利益を出さないといけない・・・でも、お客様にも喜んでもらいたいというのがあったので、いろいろ味を変えていったんです。
うちのスープは、千葉の「錦爽どり」ていう鶏だけでスープを取っていますし豚は豚だけでスープを取っています。6時間煮込んで、野菜は1時間ぐらいにして、20分~30分だけ乾物を入れていますね。乾物はすぐに抜かないとえぐみが出てしまいますからね。できるだけ出来立てを出すっていうのが絶対です。野菜は、えのき、焼いた椎茸、ネギの頭、生姜の細切り、少しリンゴ入れて煮込んでいます。
最後にスープを他の寸胴に入れ替えるときに顎煮干しに通してスープを作っています。煮干しに通すのを“煮干しフィルター”って言ってるんですけどね!(笑)この“煮干しフィルター”だと乾物の臭みがでないっていうね!
その日その日によっても野菜も状態が違うので、それを見ながら味を調整して、とにかく出来上がったスープを出せることを意識しています。
タレは、作り方の本とかを読みまくって端から端まで読みましたよね。最終行き着いたのが、僕の中では東京の醤油ってはっきりしてないと思って、だから九州の地場の醤油屋さんから白醤油を仕入れています。毎日同じバランスをこの醤油が支えてくれるんです。
今は、技術を確立するために塩だけのラーメンに力を注いでいます。海の塩塩塩塩ラーメンは僕が生み出したラーメンだと思います。
塩はモンゴル、天日塩、岩塩、ピンクソルト、粗塩、梅塩の6種類を入れるんです。酸味を出すためには梅塩がいいんです!ピンクソルトはキレがあってね。焼酎も30mlぐらいを隠し味程度に入れてます。唐辛子を入れているのがポイントなんですよ!あとは、その時期によって果物酢を使ったりしているんです。
ラーメンはいろんな製法があってとても難しいんですが、僕の場合ラーメン業界からの学びだけでなく、いろいろなジャンルの人から学びを得ることが多いんです。モノ真似もそうなんですけど、やっとそれがラーメンで出来てきた気がしますね。
麺に関しては、佐野さんのところから入れさせてもらった麺を醤油ラーメンに使わせてもらったりしていて、塩ラーメンは低加水の麺を「三河屋製麺」さんから入れさせてもらっています。
集客は、平日が65人~70人くらいなんですけど、ラーメンとチャーシュー丼とかラーメンと炒飯のセットで食べてもらえるので、えらい客単価が高いラーメン屋だと思いますよ。チャーシュー丼や炒飯だけを食べてくれる方もいます。お客様の層はカップルが多くて、男性と女性の比率は5割、5割だと思いますね。サラリーマンの方や宅急便の配達の方も来てくれて、7割、8割はリピーターさんになって下さっています。
お客様に対しても、空いてる時に来てくださった方にもやっぱり、美味しいって思ってもらわないけないし、そこは常にビビりながら作っています。やっぱり、お笑いの時のライブでもお客さんが8人しかいなくても、そのお客様のために必死でやってたし、それは親父からも言われていたので、そこはいつも気を付けている部分です。