ラーメン店は人件費を下げてはいけない

「最近の若者は楽な仕事ばかりをしたがる」というコメントは、よく外食チェーンの社長などが口にしている言葉です。なぜ、こうした事が言われるようになったのかと言いますと、外食チェーンでバイトをしてみようと思う人がほとんど居なくなってきているからです。

理由は簡単で、時給が他と変わらないのにキツイ上に、人間関係もギスギスしやすいからです。これは、おいしいものを安く提供するために人件費を削るという、一見当たり前のことがそもそもの原因なのです。

しかも、大手チェーンになればなるほどそういった傾向が目立ちます。そして外国人を雇うことで人件費を削る。しかしマナーやモラルを本当の意味で1から教えなければならないので、店舗側のストレスは溜まり、効率も落ち、結果的に会社全体の収益が落ちることもあります。

しかし、例えば一流旅館や料亭であればどうでしょう。人件費で削っているでしょうか、決してそんなことは無いのです。なぜならば、こういった歴史がある所では、自分たちが雇った人間が他で働く事になっても、決して恥ずかしくないように育てようという責任があることを理解しているからです。

だからと言って、原価を抑えて粗悪なものを出すようなことも決してありません。

それでも、100年以上歴史があるのは、そういった多くの責務を果たしたからこそ現れる風格に魅せられて、多くの人に愛されるのです。では、もしあなたが外食産業に飛び込むとしたら、一体どのようなお店だとそういった他とは違う魅力が引き出せるかを考えると、ラーメン店がお勧めなのです。なぜなら、例えばうどんや蕎麦に比べるとファストフードに近いですが、ハンバーガーなどに比べると格式が高く見せられる位置にあるからです。

つまり、「安い」より「高くても旨ければ良い」方がお客様から喜ばれ支持される位置にあるのです。
材料にお金をかけて美味いラーメンを提供すれば、値段設定を800円~900円にしても繁盛ラーメン店になれる可能性が高いのです。だから、人件費も少し高く設定することもできるのです。

ここでポイントなのが、経験者を雇うことなのですが、出来れば大手経験者が良いです。なぜならば、外食チェーンの大手はキツく、社員なんかになると研修でフルマラソンを走らされる会社もある位なのです。なので、大手経験者は体力や精神力が十二分に有ります。さらに接客もホテルマン並に出来る方が多いので、あるラーメン屋の店主は、わざわざ定期的にチェーン店に通いヘッドハンティングするほどです。

多くの外食チェーンが「人件費削減」を鉄則にする中、真逆の方向ですが、実際に人件費をかけて成功しているラーメン店が多く出てきているのが現状です。なので、もしあなたがラーメン屋を始めようと考えているなら、原材料を粗悪なものにするよりも、人件費を安くするよりも、まず食材にこだわり美味いラーメンを提供すると同時に、人を育てることを考えることが重要なのです。