一昔前までのラーメン店の経営は参入者も多く、またメディアでの注目度も高いため飲食店経営としては非常に花形の部類でした。しかし、乱立したラーメン店において訪れた淘汰・撤退の嵐が、新規参入者に二の足を踏ませている事態となっているのが現状です。
そもそもラーメン店の経営はシンプルで趣向性が強く、ラーメンという唯一無二の商品で勝負するため、その”デキ”が経営を成功に導くか否かの重要なターニングポイントとなります。
ラーメンの構成要素はおおきくわけて3つあります。麺、スープ、具材です。このうち、麺とスープの完成度はラーメン全体の完成度と方向性を大きく左右しますから、スープに並々ならぬ情熱と時間を注ぎ込む経営者も少なくありません。ラーメン店の経営において商品はラーメンです。そして競合他店もラーメン店です。つまり、中身が他店と自店を分け隔てる壁であり、そして武器になり、その味の方向性こそがラーメン店経営の方向性を決めるといっても過言ではありません。
具体的に言えば、スープならば醤油、塩、とんこつベースでそれぞれ異なり、またダシは動物系なのか、魚介系なのか、コクや苦み、えぐみ、香りのバランスなど繊細な要素が数多くあります。タレの味や脂の使い方も非常に重要です。スープにあった麺を出すというのも重要で、素材や硬さ、細麺か太麺なのか、量なども調整しながらマッチングを図らなくてはいけません。
ラーメン店の経営を成功させるためには、他の商品を販売するのと同様に、ラーメン自体をまず製品として完成させなければなりません。それは作るたびに味が変るものではあってはならず、”店の味”として定着させるレベルでなければリピーター客は定着することはないでしょう。また1日の売り上げはスープの生産量と麺の湯で時間により決定されます。つまり、1度仕込んだスープがラーメン何杯分になり、営業時間中にどれくらいの客数を回せるのかが勝負です。
商品開発する際はこのスープの生産量と提供できるラーメンの数、そしてスープの時間経過による劣化にも配慮しながら行っていきましょう。それを把握することで、一日の最高の売上額と最低の売上額がわかるので、経営における利益とコストの関係が見えてくるのです。いずれにしても「自分の店」のラーメンの完成度はラーメン店経営の成功への近道であり王道です。新規開業するラーメン店も撤退する店も、このラーメン業界で生き残る術を身につけていくことが重要なのです。