麺や多久味
多くの縁に支えられラーメン屋を開業して10年以上続く老舗に!地域密着で幅広いお客様に愛され続けるその秘訣はお客様への優しさ!
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僕は実家が長野の田舎なんですが、高校を卒業した次の日に神奈川に出てきて、その1ヶ月後に渋谷に引っ越しました。もともと飲食業界で仕事をしたいとずっと思っていたんです。
たまたま家の近くのラーメン屋さんが新規オープンしたので、そこに面接いったんです。そこは、博多ラーメンの有名店で「一風堂」さんだったんですが、当時の自分は全然「一風堂」さんが有名なラーメン屋さんということすら知りませんでした。笑
東京に出てきてからは居酒屋でもアルバイトをしていたので、そこの寮に住みながら昼間は空いた時間にラーメン屋さんで働きはじめたんです。そこで、ラーメンの奥深さを知ってどんどん魅せられていき、「もっとラーメンのことを知りたい!」って思い始めましたね。
1年半くらい居酒屋とラーメン屋を掛け持ちした後に、テレビにも出ていたある有名ラーメン屋さんで働き始めました。
博多ラーメンは僕にとってすごく新鮮だったんですが、背脂チャッチャ系のラーメンにすごく興味があったので20歳くらいでその有名ラーメン屋さんに決めたんです。でも、そこはあんまり長く働いてなくて・・・何故かというと掛け持ちで働いていた居酒屋が新規でラーメン屋をやるっていうことで、電話をもらったんです。電話では「大日方君、ラーメン屋で働いていたよね?」って。「いや今も働いているんです!」笑
そんな感じで誘ってもらったので、「やったぁ~!ラーメン屋の新規の立ち上げができる!」って思って、7ヶ月くらいでそのラーメン屋さんを辞めて、その新規のラーメン屋さんを店長として切り盛りさせてもらうことになりました。僕が21歳の頃ですね。新規立ち上げの時は、物件も一緒に探しにいったりしましたし、店長として2年間そこで働かせてもらいました。
23歳くらいになった頃、自分の中でまだまだ人として足りない部分が多いって思っていた時にちょうど、自分の恩師にもなるんですが「大慶」の店主に声をかけてもらったんです。そこの「大慶」さんの味が今のうちのベースになってます。ラーメンつながりで知り合ったんです。
そして、ここの「大慶」さんでラーメンの修業を始めて、スープを定休日に作らせてもらったり、かえしダレを教わりながら作らせてもらいまして、25歳くらいまで修業していました。
その後、「自分のラーメン屋を開業したい!」って思って、物件探しをするために「大慶」さんで働く日数を減らして物件を探し始めました。その時にお客さんとして来てくれていた内装関係をやっている方と知り合って意気投合して、お手伝い感覚で日雇いで現場に出させてもらって、自分のラーメン屋を開業する時のために店舗のイメージをつける勉強を日々していました。
だから、毎日、材質、厨房機器などを見に行ったり、食べに行くラーメン屋さんでも、「このラーメン屋の作りが好きだなぁ~」とか「カウンターはこうしたいなぁ~」とかいろいろなことを学びましたよ。
1年くらい現場で仕事をさせてもらって、物件も見に行き、ラーメンの食べ歩きをしながら江戸川区のこの物件を見つけたんです。働かせてもらっていた内装業者さんにお願いして自分も一緒に店作りをしました。スケルトンの状態からやり始めて自分の理想のラーメン屋に仕上げました。
僕が26歳の時に「自分のラーメン屋を開業して独立しよう!」って動き出して27歳の時にこの「麺や多久味」が出来たんです。オープンは2003年の4月でしたね。
オープン当初は80人くらいのお客様に来ていただいたんですが、自分としては1日80人を目安にしていたので、そこはクリアできたって感じです。
今でこそつけ麺やまぜそばをやってますが、オープン時はラーメンしかやってなかったんです。最初は「旨い一杯を作る!」ということを前提にしてたので、スープ、かえしダレにすごい力を入れていました。
麺も「大成食品」さんにマイナーチェンジしてもらったり、サンプルを持ってきてもらったり、本当にすごい助けてもらいました。
自分の特徴に合う色っていうか感覚が一番合うのが「大成食品」さんの麺だったんです。僕の要望に合った麺の工夫なんかもしてもらっていました。杯数も全然出ていない時からそういうサポートをしてくれていましたのでありがたかったです。
うちの麺のウリは、主張しすぎない麺を心がけているところです。ラーメンが好きっていう発想からスタートしているので旨い一杯というのベースに考えると、麺が主体になり過ぎるとちょっと違うんですよ。
つけ麺はある程度麺の主張が欲しいので、イメージはモチモチ、しこしこという自分のしっくりくる麺に仕上げてもらっています。やっぱり、どんな商品を作るかによって麺のこだわりは変わるのが麺の特徴だと思いますね。
スープは鶏が主体だったり、豚が主体だったり、野菜が主体だったりとかいろいろ変えていったんですが、ある程度コクがあり過ぎず軽すぎないスープに行き着きました。ただ、日々変化の毎日なんですけどね。笑
今は、豚をメインにしてゲンコツと雑ガラ、地鶏を入れて炊いてます。でも、鶏の方が早く崩れてしまうので、鶏と野菜を一緒にネットに入れてじっくり炊き出していきます。
げん骨や豚の頭はダシがかなり出るので、ある程度ダシが出たら一回スープを取って、その後にさらに水を足して新しく炊くという製法で作っています。僕がいたラーメン屋さんはこういう風にラーメンのスープを作っていたので、その時の製法が僕のベースになっています。
だから、スープをある程度炊いたら別の寸胴に入れてを繰り返して作っていきます。やっぱり手間はかかりますよね。でも、いろいろなラーメン屋さんが世の中にはあって、同じような材料を使っているのに、各ラーメン屋さんによって特徴が変わるのはこの製法の違いによるんだと思いますね。
かえしダレの特徴は、「極力シンプルに!」って言う感じです。でも、いろいろ入れていくと複雑になってはいるんですけどね。笑
鰹の厚削り、昆布、煮干し、鯖節、ホタテの貝柱などを入れて、それぞれ旨みが出る時間を考えながら合わせて入れていき、火加減も慎重に調整しています。
醤油はいろいろな醤油屋さんの醤油を使ったり、ナンプラーとかも使ってみましたが、今はダシをしっかり出しているので、あまり醤油が突出しないようにしています。
今1日の来店数は平日が150人くらいですが、週末は200人くらいのお客様に来ていただいてますね。お客様の層はかなり広くて、家族連れ、学生さん、カップル、年輩の方などいろいろです。
「ターゲットは決めないとダメ!」っていう人もいるんですが、それは決めれてないですよね。だから、今は台湾まぜそなど10種類くらいのメニューが作られています。でも、ラーメンだけの時もターゲットは幅広かったし、誰でも食べやすい優しい味を追求していたからこういう風にいろいろなお客様に来ていただけているんだと思います。
お客様の数が大きく変わったのは、つけ麺の塩を始めた時です。その時の麺がすっごいよくて、僕も「すっごいいい!」っていう手ごたえがあったこともあり、そこからメディアに出させてもらって集客がいっきに伸びましたね。
つけ麺の店じゃないのに、つけ麺を目がけてくる人が多くなって、リピートの方もどんどん増えて、リピート率が8割くらいになってきましたかね。
男女の比率でいくと男性6割、女性4割っていうくらいの時もあるけど、やっぱり男性のお客様が多いですね。
平日は2人で店を回していて、週末は3人でやっています。店作りに関しては、温もりのある雰囲気でお客様の心も温かくなるような店作りをしたいと思っているので接客もお客様一人一人に合わせて変えています。
例えば、ラーメンを出すタイミングも種類によって時間が変わるので、一緒に来たお客様には一緒にラーメンを出すようにしていますし、お子様がいる場合はお子様から出すとか、「急いでるなぁ~」っていうのが見た瞬間わかるお客様には、より早く提供したり、お客様のことを常に考えてやってますね。
だから、メニュー的な部分はもちろん重要ですけど、そういうお客様をしっかり見て接客をすることも大切にしてますよね。
今後の目標なんですが、お客様あってのお店ですし、自分の子供も大切だし、自分の目指している味作りもあるしって優先順位を付けるの難しいですよね。笑
でも、少し落ち着いたらラーメンをもっと追及して、僕ならではの他にないラーメンを作りたいって思ってます。そういう部分では「大成食品」さんにお世話になりながら、店作り、味作りをしたいって思っています。でも、人生やっぱりバランスが大事だと思いますよね!
【大日方店主 談】